心があたたかくなるお葬式
ご無沙汰しております。やまなし自宅葬儀社の小澤です。 私がお葬式の業界に入ってから11年。 もう何件お葬式をお手伝いさせていただいたか数えきれないほどになりました。 1件1件それぞれに思い出がありますが、今日は心があたたかくなったお葬式をご紹介したいと思います。
【自宅へお友だちが50人集まったお別れ】
ご夫婦2人で山梨へ移住なさったAさんは、ご主人を突然亡くされました。 物静かな雰囲気のAさん、お子さんはいらっしゃらず、ご親族も皆遠方にお住まいでした。 葬儀日程を決めた後、本来であればお葬式の詳細の打ち合わせに入ります。 でも、そのとき私はAさんご夫婦のお住まいについて尋ねました。 「このお庭のお花たちは奥様がお育てですか?」 なぜこの質問をしたかというと、ご自宅へ入った瞬間に「普通のお葬式ではいけない」と思ったからでした。 Aさんのお住まいは、富士山を望む眺めのいいお庭に山野草が咲き、ログハウスのような雰囲気のとてもとても素敵なお家。 立派なオーディオ機器もあり、好きなものに囲まれた暮らしをしていることがすぐにわかりました。 お庭への質問をきっかけに、Aさんはご夫婦の趣味や思い出、移住のきっかけ、そしてお住まいに対しての想いを教えてくれました。 お葬式の当日は、朝からお友だちの皆さんがお手伝いに来て、お棺へ手向けるためにお庭のお花を摘んで準備し、また、お家の中では故人様のお好きだった洋楽が流れ、涙と笑顔があふれる中穏やかな時間が過ぎていきました。 そして、お棺へ思い出の品物を納める際には、喪主であるAさんが故人様との思い出を1つ1つお友だちの皆さんへお話をしてくださいました。 ご出棺後は、ご夫婦が毎日お散歩をなさった道を通って火葬場まで向かいました。 気づけば、このお別れに集まった方は50人オーバー。 お友だちの皆さんがAさんご夫婦の最後の時間を一緒に作ってくださいました。
【お葬式は何のためにするのか】
もちろんお葬式は亡くなった方の供養のためにするものです。 でも、そのほかにも目的があります。 それは、残された「家族」「親戚」「友人」が大切な人の死を悼むことでその死を受け入れ、気持ちに整理をつけるという目的です。 では、気持ちに整理をつけるために必要なことは何でしょうか。 それは「お別れに参加すること」だと私は考えています。 お別れに参加すると言っても難しいことではありません。 お孫さんが粘土遊び感覚でお供え団子を作ったり、メモリアルボードに写真をみんなで貼ったり、お棺へ寄せ書きをしたり、できることはたくさんあります。 葬儀社の私が言うのは少しおかしいかもしれませんが、「葬儀社に任せきりにしない」ということが大切なのだと思います。 私がこの仕事に就く前、母をおくったときに感じたこと。 それは、「葬儀社に言われるがまま、ベルトコンベアの上に乗って過ぎ去ったお葬式で残るのは、心残りと疲れ」ということです。 もちろん、どのようなお別れにするかという概要はプロである葬儀社に任せていただきますが、「大切な故人様のために何をしてあげられるか」を皆さんにも一緒に考えていただきたいと思います。 心から満足できるお別れにするためのご提案です。 元気なうちに少しでも考えておくと最期の時間をあたたかく過ごせるように思います。