ベトナム体験記
はじめまして。中嶋雄士と申します。私はIT企業と、宿坊事業を行う会社で、昨年からダブルワークをしています。最初の職はシステムエンジニアで、その後はエストニアやルワンダでIT視察やベビーシッター業を営み、家族とともにウルグアイにも住みました。好奇心旺盛な平成生まれ、34歳です。
今回は初投稿になりますが、先週訪れたベトナムでの体験を通して、思いがけず触れた信仰のかたちと、それを取り巻く人々の優しさについて綴ってみたいと思います。
きっかけは、仕事をしているIT企業のベトナムイベントへの参加でした。仏教について考えてみるつもりは全くなく、あくまで人との出会いや現地体験を目的としたものでした。しかし、街を歩く中で、自然と宗教や祈りの風景が目に飛び込んできました。
ホーチミンのお父さんのお墓
ホーチミン市内はタクシーが安価で、移動のほとんどを車で行っていました。そのすべての車に仏像や蓮の飾りが置かれていたのは驚きでした。日本でも交通安全のお守りを吊るす人はいますが、こちらでは仏教的な装飾がほぼ標準装備のように存在していたのです。
夜には、日本でいう歌舞伎町のような雑多な繁華街にも足を運びました。そこで目にしたのは、派手な服装の女の子たちが、1メートル四方ほどの簡素な祭壇に線香をあげ、手を合わせている姿でした。案内してくれた現地の方によると、「お店が暇なときに、商売繁盛を祈りに来る」のだそうです。その姿がどこか健気で、私は思わず「この子たちのお店に応援しに行きたい!」と思ってしまいました。
案内してくれた方は、ベトナム戦争後に難民として日本へ渡り、猛勉強の末に一流大学を卒業。現在は日越をつなぐビジネスを展開されています。彼は「ベトナム人は世界中に散らばっていても、心の奥には必ず『ベトナムのために何かしたい』という思いがある」と語ってくれました。若い国だからこそ、人々の間に強い愛国心や帰属意識があるのかもしれません。
「昭和の日本のようだ」と形容されることもあるベトナムですが、それはノスタルジーだけではありません。日本の1960年代のGDP成長率は平均約10%と高水準でしたが、1970年代には平均約4.5%に減速しました。一方、ベトナムの近年の成長率も力強く、過去10年間のGDP成長率は平均で6.1%前後と高水準を維持しており、2022年には8.1%という急成長を遂げました(世界銀行データ)。そんな目まぐるしく変わっていく社会に生きる人々、ベトナムの街は希望にあふれているように見えました。
また、滞在中に何度も感じたのは、ベトナム人の優しさ、素直さです。ベトナム人の男友達に「“Em ơi, em đẹp quá(お姉さん、とても綺麗ですね)”って言ってみてごらん、みんな喜ぶから」と教わり、どのお店でも実践してみました。結果、一人として嫌な顔をした人はいませんでした。皆が素直に笑って喜んでくれて、すぐに仲良くなれました。日本で同じことをすれば、戸惑いや警戒の反応が返ってくるかもしれません。ベトナムの人々のあたたかさと、澄んだ心に触れた瞬間でした。
そして最後に触れたいのが「蓮」です。ベトナムの国花であり、仏教の象徴でもあるこの植物は、花も葉も茎も実も、すべてに意味と用途があるということを知りました。繊維として、化粧品として、食料としても利活用されていました。なんて万能!そして、本当に美味しいんです。乾燥させてナッツ状にした「蓮の実」にどハマりし、私は毎日それを食べ、帰国時には8袋をお土産に買って帰りました。
それ以外にもベトナム料理は肉と香草、ソースが絶妙にマッチして、和食に匹敵する美味しさでした。(つまり世界No1 or 2)ベトナム料理ロスです。
そんな楽しく刺激的で、沢山の気づきがあるベトナム旅行でした。やっぱり海外に行くのってワクワクして大好きだ。次はインドに行ってみたいな!