仏像の背中に光るもの「光背」とは?
浄土宗の小幡です。今回は光背について書かしていただきます。
お寺などで仏像を見たとき、仏さまの背中に金色や炎のような飾りがついているのを見たことはありませんか?これを「光背(こうはい)」といいます。
光背とは、仏や神仏の発する「聖なる光」を視覚化し、背後に造形としてあらわしたものです。「後光(ごこう)」とも呼ばれ、光背の由来は仏教だけでなく、古代ペルシャやギリシア・ローマの美術にも見られます。太陽の放射状の光を神の背後に添えることで、その神聖さを象徴した表現がもとになったと考えられています。
光背にはさまざまな種類があります。頭部に表される光背を頭光と呼び、体の周囲に表される長楕円形のものを挙身光(略して身光)と呼ぶ。頭光と挙身光を組み合わせる形式が一般的であります。光背にさまざまな形があります。それぞれの光背には、深い意味と象徴があります。
● 宝珠光(ほうじゅこう)

あらゆる願いを叶えるとされ、仏像の持ち物とされることもある宝珠をかたどっている。飛鳥時代の仏像によく使われている。
● 円光(えんこう)

光を円形で表したもの。シンプルな造形。
● 放射光(ほうしゃこう)

円光線が放射状にが放たれているデザイン。線は48本とされることが多い。これは阿弥陀如来の48の誓願を示している。浄土真宗の寺院の仏像によく使われる。
● 火炎光背(かえんこうはい)

炎が燃え上がるような形。不動明王などの明王に多く見られる光背。炎の中にインドの霊長・迦楼羅をかたどったものもありこの炎は私たちの煩悩を焼き尽くすともいわれる。
● 二重円光(にじゅうえんこう)

頭光と挙身光を二重の光の輪で表したもの。座った姿の如来や菩薩の仏像に多い。
● 舟形光背(ふながたこうはい)

全体の形は一枚の蓮の花びらのようであるが、舟の平面形に似ていることから、総称して舟形光背と呼ぶことがある。立ち姿の如来や菩薩の像に多い光背。
仏像をより深く味わうために
光背には、唐草文様(からくさこうはい)、飛天の姿を描いた飛天光背(ひてんこうはい)、霊鳥迦楼羅を模した迦楼羅炎(かるらえん)、千体の化仏を配した千仏光背(せんぶつこうはい)など、さらに多くのバリエーションがあります。
特に唐招提寺の盧舎那仏坐像の千仏光背は、壮大な仏教宇宙観を表現した名品として知られています。
また、浄土宗においては光背の形式に厳格な規定はありませんが、阿弥陀如来像には舟形光背が多く用いられ、現代でも一般的な形式です。
仏像を拝観する際、つい顔や手の形に目がいきがちですが、その背に広がる「光背」にも、仏教の思想や造形美が凝縮されています。
仏の光が、どのように表現されてきたか。そこに注目することで、仏像の見方がぐっと深まることでしょう。仏像を見るときは光背にも注目!
