お寺豆知識 第18回 恩を知り恩に報いる
【知恩報恩(ちおんほうおん)〜恩を知り恩に報いる〜】
坊主道メンバー、日蓮宗韮崎市本照寺、甲斐市本妙寺副住職 坪井俊裕と申します。
早いもので2回目の執筆となりました。
7月29日に、坊主道代表 近藤玄純上人が住職を勤める、中央市妙性寺において法話をさせていただきました。
直前の依頼のため、不安で断ろうと思いましたが、公私ともにお世話になっている方のお願いを断ることは出来ず拙いお話をさせていただきました。
そこで今回はその時、妙性寺の檀家の皆様にお話しさせて頂いた「恩」について書こうと思います。
【仏教で説く4つの恩】
恩について、仏教ではさまざまな経典に説かれています。
そのうちの1つを紹介させていただきます。
『大乗本生心地観経』では、①父母の恩 ②一切衆生の恩 ③国の恩 ④三宝の恩の四恩を説いています。
【父母の恩】
この世に生まれてきたことへの恩です。
誰しもが父・母がいて今、みなさまがいます。更に言うと祖父・祖母、曾祖父・曾祖母・・・・・・・・
10代遡ると2046人。
遡れば本当にたくさんのご先祖様がいるわけです。
誰か1人でも欠けてしまうと私たちは今ここに存在しないわけです。
父母の恩とは言うなれば、父母はじめご先祖様への感謝の恩ということです。
【一切衆生の恩】
衆生とは生きとし生けるもの全てという意味です。
友人や会社の仲間や先生、動物も草も木も、命あるもの全てのことです。
われわれは人生においてたくさんの方に教わり、支えられ、今を生きています。
衆生の恩とは、周りの人、命あるもの全てへの恩ということです。
【国の恩】
国に感謝していますか?
そう問われてもすぐ返答できる方は少ないかもしれません。
しかしわれわれはこの国に生まれ、医療・教育等さまざまな制度のおかげで安心な生活を送ることができます。
国の恩とはこの国において安心して暮らすことができることへの恩です。
【三宝の恩】
三宝とは仏・法・僧のことを言います。
仏とはわれわれを導いてくれる仏さま。また、みなさまひとりひとりの心の中にある仏の心を言います。
法とは、仏様が説かれた教えのことを言います。
僧とは、お坊さんもそうですが仏様の教えをとも学び、一緒に修行をする仲間のことを言います。
三宝の恩とはこの3つの宝への恩です。
以上が仏教で説く4つの恩です。
【経験からみる恩】
私ごとですが最近祖母が亡くなりました。
祖母の死を通しこの4つの恩を感じさせていただきました。
祖母をはじめご先祖様がいたから私はこの世に生をうけました。
葬儀に際し、祖母と縁のあった人や親族と縁のある人、多くの方が率先して葬儀の準備をしてくださいました。
10年ほど前に病んでいた祖母が回復し長生きすることができました。
そして祖母が長年過ごしたお寺の本堂で、祖母の信仰していたお経で送ることができました。
葬儀というひとつの法要に際し、改めて4つの恩を肌で感じさせていただきました。
【最後に】
自分がいろんな人や物に支えられていることに気付き、恩返しをさせていただくという想い
”知恩報恩”
「恩を知って恩に報いる」
これこそがよりよく生きるために大切なことだと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。