お寺豆知識 第19回 「合掌」一切のこだわりを捨てる
【合掌ってなんだろう?】
坊主道メンバーの山梨市牧丘町、曹洞宗西源寺住職の若月和道と申します。
今回は皆さんの生活の身近にある「合掌」についてお伝えしたいと思います。
「合掌」というと、両の手を合わせること、両の手を合わせて拝むこと、ということであります。
これはごく普通に皆さんが認識し、毎朝仏壇に向かって合掌したり、お葬式や法事の場面でも行っていることだと思います。
この「合掌」について深く考えたことはありますか?
拝む対象として、お釈迦さまなどの仏様であったり、お亡くなりになったご家族やご親戚などのいわゆるご先祖さまがあります。
しかし、必ずしも仏様や神々に対してのみならず、一般社会にいる方々の間でも相互に行います。
たとえば、私たち僧侶同士が会った時など「合掌」して挨拶をします。
これは心を込めてお互いを敬い尊重しあうという非常に礼儀正しい行いだと思います。
合掌はインドやタイなどで行われている礼法です。
【合掌の意味とは?】
古来インドでは右手を神聖な手、左手を不浄な手として使い分ける習慣がありました。(現代ではこのような考え方はしません。)
その両の手を合わせることは人間の中にある神聖な面と不浄な面を合わせたところに人間の真実の姿、本来の姿があるという考えの現れなのです。
【日常生活での合掌】
葬儀で故人に対して合掌をする場合は、右の手が故人、左の手が自分と考え故人と自分が一切のこだわりを捨てて一つになれるという、非常に意味深い「合掌」になるのです。
お釈迦さまなどの仏様に対して合掌する場合は、右の手が仏様、左の手が自分と考え、仏様と自分が一つになることができる、ありがたい「合掌」になります。
【合掌を実践する】
ごくごく当たり前に行っている「合掌」にも深い意味があります。
このような気持ちで、天地いっぱいの恵みを受けてこの世に生かされているという誠の真理に感謝をし、
両の手を合わせる「合掌」を実践していただくことによって、よりすがすがしく爽やかな気持ちになることが出来ると思います。
「子どもは親の背中を見て育つ」という言葉があります。
お子さんや、お孫さんはもちろんのこと、身近な子どもたちに心から「合掌」をしている姿を親が進んで見せることにより、理屈ではない心の教育をすることができます。
ご先祖様を大切にし、相手を思いやる。
相手の命を大切にすることにより、自分の命を大切にする。
「合掌」という姿は計り知れない意味を持っているのです。
皆さんも「合掌」をして報恩感謝の実践を行ってみてはいかがでしょうか。