第2回 寺嫁日記

第2回 寺嫁日記

【第2回寺嫁日記】

始めまして私は甲斐市にある浄土宗功徳院の寺庭で渡辺類と申します。
(※寺庭=お寺の奥様・住職の奥様 大黒(だいこく)さん、坊守(ぼうもり)とも言う)

坊主道の皆様とご縁を頂き、光栄にも「寺嫁日記」を書く機会を頂戴いたしました。

不馴れな上筆不精の私で大丈夫なのか迷いましたが何事も経験が大事なのだと思い現在に至ります。

私なりの「寺嫁日記」をご一読頂けたら幸いです。

今回は自己紹介も兼ねてお寺での日常について書いてみたいと思います。

まずお寺というところは時に想像以上に大変なことがあります。

「はぁー」と深いため息をついて落ち込む日もあります。

また自分に与えられた試練の壁が高いこともあり頭を抱えてしまうこともあります。

しかし本尊である阿弥陀様のもと、多くのご先祖が見守る中で功徳院をお護りし、住職を支えていくことが寺庭の務めであります。

私はお寺に嫁いで良いことも悪いことも全てに意味があることを感じています。

そして功徳院に入ったことで色々な方々に出会い、学ばせていただいてることに感謝しています。

そしてその出来事は何か意味のある出来事で、必ず後の人生において役立つ出来事とも捉えています。

 

【お寺とは?】

お檀家さんに「仏教とは?」などと聞かれることもあります。

勉強不足で寺庭としても未熟者の私が人に教えることなど出来ませんので専門的なことは住職にお任せしています。

友人や知人、初めてお会いした人によく聞かれる事は「朝は日が上る前に起きて冬でも冷たい水でお寺の掃除するんでしょ?」とか

「お肉とかお魚は食べられないんでしょ?」とか

 

「滝行に行ったことある?」とか

 

「座禅してるときに棒みたいので肩叩かれて痛くないの?

などなど聞かれますが……

寺庭と僧侶と色々な宗派のイメージをごちゃ混ぜで聞かれるので答えるのに困惑するときもあります(笑)(汗)

【功徳院の一日】

私の日課は、まず最初にご本尊に手を合わせ御念仏(南無阿彌陀仏)を唱えることから始まります。

ご本尊、その他の仏様へお線香を立て、お供え物を用意します。

本堂の窓を全部開け、掃除機をかけ窓拭き縁側を水拭きします。

基本掃除や草取りをしています。

掃除が終わったところで一杯のコーヒーとチョコレートを一粒、二粒と食べることが至福の時間です。

 

その他にすることは寺務仕事です。
「寺務」………

寺庭になって初めて聞いたときには驚きましたが、お寺では事務所を寺務所と書くそうです。
なので事務仕事は寺務仕事なのです。

【お寺に嫁ぐということ】

お寺で生活すると色々な事を考えます。

皆様はオフィスや店舗などでお仕事をされていることと思います。

お寺という世間と時間の流れが違う場所にいると〝考える〟ということが仕事のようなものです。

その非日常的空間の中でご本尊に見守られながら自分と向き合うことができる貴重な時間をいただけています。

先日もふと、小学生の頃に大好きだった祖父を亡くしたという出来事を思い出しました。

毎日一緒にご飯を食べて一緒にテレビを見て私に笑顔で話かけてくれていた祖父。

そんな祖父がこの世からいなくなってしまった悲しみは非常に大きいものでした。

祖父の亡き後、祖母から教えられてきたことは

「亡くなった人の〝想い〟を供養してあげることが私達の務めだよ」

幼い私にはうまく噛み砕けなかった祖母の言葉もお寺に嫁いだ今は理解できるようになりました。

【お寺の役割を考えてみる】

私はご先祖様を供養することはとても大事なことだと思っています。

しかし昨今はご先祖供養する人が少なくなりつつあるような気もしています。

ご先祖を守り供養することの大切さを伝えることがお寺の重要な役目の1つではないかと感じています。

私自信はまだまだ勉強中であり伝えられる知識も多くはありません。

出来る事は限られていますが役目を果たそうと頑張っている住職を全力でサポートしていくことが今の私にできることです。

これからも私にできることを私の修行として精進していきたいと思っています。

つたない日記を最後まで読んで頂きありがとうございました。