想像もしなかった現実

想像もしなかった現実

【新連載ワタシはお坊さん「想像もしなかった現実」】

「おとうさんは おぼうさん」
小学校一年の時、こんなタイトルで作文コンクールの賞をいただきました。

「実家がお寺なら大変ですね」
「お寺の娘さんなんですね」
「いいお婿さん探さなくちゃね」

こんな質問は、幼い頃から日常茶飯事。嫌で嫌で仕方ありませんでした。
父のことを作文で書いたのも、担任の先生に薦められ、仕方なく書いた記憶があります。

お寺を継ぐ気もない、
田舎から早く抜け出したい、
都会で暮らしたい!

そんな思いから、大学進学と同時に憧れの都会生活。
卒業後、一般企業に就職し、やっと自分の思い通りの生活できる!自由がある!
そう、思っていました。

人生って、なにが起きるかわからない。

数年前の自分自身が想像もしなかった現実をワタシは今、生活しています。
想像もしなかった現実・・・
ワタシが父と同じお坊さんになったこと
父が亡くなるという現実

人はいつか亡くなる

それは誰もが分かっていること。
ですが、父が亡くなる日が来ることをワタシは想像もしていませんでした。
父が亡くなり、今までのワタシには想像もしなかった感情が芽生えます。

「福島に帰って、お坊さんになろう」

一生田舎に戻るつもりなどなかったワタシ。そんなワタシが、生まれ育ったお寺に戻って、3年が経ちました。

人生は、自分の思い通りにいくことばかりではない。むしろ思い通りにならないことの方が多い。
思い通りにならないから苦しい、辛い。

思い通りではない毎日と、どう折り合いをつけて生きてゆくか・・・
もし思い通りにならなくても、自分らしく充実した毎日を生きるためにはどうしたらよいか・・・。

そのヒントを教えてくれたのは
【仏教】という智慧でした。

数年前には想像もしなかった現実を過ごす、ワタシですが、楽しく、健やかに、のんびりと毎日を過ごしています。こらからも、想像もできない、想像も超える毎日が待っているかもしれません。

思い通りにならない毎日でも、いろんな人とのご縁。
そして、仏教という生きるヒントを大事にしながら自分らしく生きてゆければと思っております。

私が暮らす福島県猪苗代町では、田植えも終わり、新緑の美しい時期になりました。
これから少しづつ、田舎の小さなお寺での日常を綴ってまいります。
気軽にお付き合いいただければ幸いです。

合掌