第3回 寺嫁日記 お寺に嫁ぐということ 前編

第3回 寺嫁日記 お寺に嫁ぐということ 前編

【結婚式はどうしてするの?ー前編ー】

はじめまして、愛知県名古屋市にある曹洞宗寺院の寺族(僧侶の他にお寺で生活する人のこと) 早坂宏香です。

一般家庭に生まれ育ち、ご縁をいただいてお寺へ嫁いだ、食べること絵を描くことが大好きな寺嫁です。

この度「お寺のじかん」寺嫁日記のメンバーに加えていただきました、これからどうぞよろしくお願いします。

芸能人の結婚報道で世間が賑わっていたある日、子どもに「結婚式はどうしてするの?」と尋ねられました。

そういえば私にも同じように感じていた時期がありました、さてどう話そうかなと当時の事に思いを馳せたのです。

【そもそもお寺の結婚式を知らなかった】

当時の私は、情報誌に掲載されている事くらいしか知らなかったので、結婚式といえば式場のチャペルか大きな神社、こだわる人は海外のチャペル・・・くらいしか想像できませんでした。

しかし、私が結婚するのは僧侶です。

一体どんな結婚式になるのだろう?もしかしたらお葬式はするけど結婚式はしないよ、なんて言われるのかしら?などと考えていました。

彼に尋ねれば「式はあるよ、普通の式だよ」と言うのですが、初めての経験で普通がわかりません。

あれこれ質問責めにしましたが、彼も説明しずらそうにしていました。

実は10月に結婚式を考えていました。

結納を2月に納めたので式は秋頃がいいねと話していたのですが、それを聞いた彼の父が「夏までに式をしなさい」と言い張ります。

できれば2人でゆっくり整えたいなと思っていましたが、普段は温和な彼の父がこの事にだけ頑なだったので、急いで支度を整えて夏前に式を挙げることにしたのでした。

【お寺の結婚式とは】

6月下旬、梅雨らしい天気の日、彼と私はお仲人さまに導いていただいて親族や友人が待つ本堂へ入場していました。

暫く後に式師さまが入場され、かぐわしいお線香をお供えして三拝くださいます。

ついに結婚式が始まりました。

皆で般若心経をお唱えし、式師さまが啓白文という結婚式を行うご報告を御仏へ読み上げてくださいます。

そして、清らかな命の水を額へいただきお数珠を拝受して、三々九度で契りを交わしました。

最後に2人で誓いのことばを読み上げます。

<今ここに、私たちは、御仏のみそわす御前に於いて、結婚の式を挙げることができました。この恵まれた幸せを終生忘れることなく、常に御仏を仰ぎ奉り清らかな心をたもち、互いに力をあわせて各々のつとめに精進し、以って人生の意義を全うすることをお誓いいたします>

檀信徒の皆さん、両家親族友人、お坊さん方、お仲人さま、式師さま、と多くの方々に見守られ、助けていただき、無事に結婚式を行なったのでした。

(つづく)

photo by.koichi Kato