御会式とは?〜身延山御会式のススメ〜

御会式とは?〜身延山御会式のススメ〜

【御会式をご存知ですか?】

御会式とは日蓮宗の宗祖、日蓮聖人のご命日である10月13日にあわせて行われる法要で、日蓮宗の総本山である身延山久遠寺や大本山池上本門寺をはじめ全国の日蓮宗寺院でも行われます。特に久遠寺や本門寺の御会式は、毎年10月11日〜13日の3日間、盛大に御会式大法要が行われます。

御会式の中でも身延山久遠寺では毎年10月13日に近い土曜日、池上本門寺では毎年10月12日に行われる万灯行列が御会式に花を添え、観光に訪れる方にも人気の行事となっています。

日蓮聖人はその御生涯の晩年9年間を身延山で過ごされました。
法華経をもって日本を救わんとする日蓮聖人の強固な活動は、時の幕府などの反感を買い、流罪にあったり襲撃を受けるなど、日蓮聖人は様々な法難に遭われます。

そして、53歳のとき、かつて身延の領主であり日蓮聖人の信者であった波木井実長の招きにより、身延山に入られます。

熾烈な布教の御生涯の中で初めて日蓮聖人が心ゆくまで法華経に向かい合うことが出来たのが身延での9年間だと言われています。

身延の自然は厳しく、当時は屋根の高さ程までも雪が積もることもあり、食べ物もごく僅かで餓死するほどであったとも言い伝えられています。

そのような生活からか、日蓮聖人は体調を崩されるようになり、常陸(茨城)の湯まで湯治に向かわれましたが、道中で体力も限界をむかえ、途中現在の東京都大田区池上にある池上宗仲邸で息を引き取られることなったのです。

そして、日蓮聖人が亡くなられた際、本来花開く時期ではない桜の花が咲いた故事に由来して、御会式の万灯は桜の花を模した紙花がたくさん飾られ、日蓮聖人を偲ぶようになったといわれています。

身延山御会式のススメ

身延山の御会式では10月11日〜13日の間に行われる法要のほか、万灯や纏(まとい)が町を練り歩く万灯行列、命日前夜に行われる御逮夜法要(おたいやほうよう)、御逮夜から御命日である13日の明け方にかけて行われる通夜説教などがあります。

御会式法要は午前10時〜の読誦会、13時〜の音楽大法要が大本堂で行われます。

特に音楽大法要では大勢の僧侶による声明(しょうみょう 節をつけお唱えするお経)からはじまり、雅楽の生演奏も取り入れられた法要はとても厳かで、日蓮宗信徒のみならずとも観光で訪れる方々にも興味深くご覧いただけるのではないのかと思います。

また、10月13日に近い土曜日(※2019年度は10月12日)に行われる万灯行列は16時30分頃総門を出発し、門前の商店が立ち並ぶ辺りで最も賑わいを見せます。
※本年度の万灯行列は台風のため中止となりました。

紙花で飾られた万灯と纏は、それぞれの万灯講ごとに趣向が凝らされており、賑やかで美しく、見ていて飽きることはありません。

身延山は山間で、周囲にビルなどの灯りもなく、余計な灯りが少ない中で見る万灯の灯りはまた特別なものがあります。

屋台などの「お祭り」としては楽しむ要素が少ない中で、日蓮聖人を慕う方々が近隣からも遠方からもこの日のために身延山に集まり、捧げる万灯の灯りは、心がこもったものであるように感じられます。

門前町の商店の方々も、子供に手作りの紙花やお菓子をくれたり、軒先に見物の方のために椅子を出して下さったりと、温かい雰囲気がじんわりと心にしみる身延山の夜です。
また、万灯行列の日には19時〜と21時〜の2回、久遠寺境内に万灯講の人々が集まって、大本堂の御本尊に向かって一斉に行う万灯奉納があり、こちらも見逃せない瞬間です。

そして、12日は祖師堂で御逮夜法要が行われるほか、興味のある方は是非参加して欲しいのが通夜説教です。

僧侶見習いの学生やお説教のプロの僧侶による通夜説教が順番に行われ、日蓮聖人の御一代記(御生涯)を夜通し語るものが、19時30分から祖師堂で行われます。

学生さんの一生懸命さ、僧侶方の個性などが伝わり、語り手によってもお話の変化を楽しめます。

夜の祖師堂の雰囲気を味わえるのはなかなかない機会ですので、そういった意味でもオススメです。

途中入場、退出可能ですので、お気軽にお越しください。

12日直前になると、報恩閣に説者と内容が張り出されますので、興味がある部分を予めチェックすることもできます。

通夜説教が終わると、10月13日、日蓮聖人が亡くなられた御命日の日になります。
朝は6時から朝勤(ちょうごん)が行われ、10時からは読誦会、13時からは音楽大法要がはじまり、身延山での3日間に渡る御会式の幕が閉じられます。

日蓮聖人が亡くなられたのは池上であるということや、日蓮聖人がお亡くなりになられた池上宗仲邸跡地に建てられた本山池上大坊本行寺があること、日蓮聖人が池上の地で亡くなられるまでの間に寄りかかりながら講義をされたという柱が残されているいることなどから、御会式は池上本門寺に行かれる方も多いと思います。

そして何より池上本門寺の御会式は、都心部であることもあり、たくさんの屋台や万灯が出て、まさにお祭りのような賑やかさ、楽しさがあります。

身延山は日蓮聖人がお亡くなりになられた場所ではありませんが、日蓮聖人が開かれた「身延山法華院久遠寺」、日蓮宗の総本山であり、「たとい、いづくにて死に候とも九箇年の間、心安く法華経を読誦し奉り候山なれば、墓をば身延山に立てさせ給え。未来際までも心は身延山に住むべく候。」
と日蓮聖人がお手紙に記されていることからも、今でも日蓮聖人の魂が棲まうのは身延山だと考えられています。

身延山の御会式、池上の御会式、日蓮聖人に想いを馳せたとき、それぞれに感じることがあると思いますし、その趣の違いも楽しむことができると思います。

もし、身延山の御会式にお参りに来られる際は、是非日蓮聖人のお墓のある御廟所にもお参りください。

そして全国各地、日蓮宗寺院でも万灯行列はなくとも、御会式法要は行われます(法要が行われない寺院もあります)ので足を運んでみてください。

お寺と関わるはじめの一歩は、法要に足を運んでみることから始まるかもしれません。