【宿坊2.0】生まれ変わるお寺 Vol.1|宿坊 善光寺 TEMPLE HOTEL TAKAYAMA ZENKOJI

【宿坊2.0】生まれ変わるお寺 Vol.1|宿坊 善光寺 TEMPLE HOTEL TAKAYAMA ZENKOJI

2017年某日。1つのお寺が岐路に立たされていた。

とある方を介して、私たちお寺ステイという会社に一本の連絡があった。

「岐阜の飛騨高山のお寺さんで、今後について非常に悩んでいるお寺さんがあるのだけれども、一度話をしてもらえませんか。」

そんな話がご縁の中からふと舞い込んできた。

私たちは迷わず、東京から岐阜県高山市に飛んでいった。

【高山善光寺というお寺】

実際どんな状況なのか、どういうお寺なのか事前の情報があまりない。

事前情報の少ない中で、緊張と幾ばくかの期待を胸に、片道5時間強の道のりを進んだ。

いざ、ご住職一家とのご対面。聞けば、この高山善光寺、「善光寺」といえば言わずとしれた信州善光寺の大本願別院にあたるのだそう。
※善光寺は、天台宗の「大勧進」と25院、浄土宗の「大本願」と14坊からなり、その大本願の別院にあたる。

聞けば聞くほど由緒あるお寺だけに、緊張感が高まる。

そして、創建以来、数多くの参拝者であふれ、飛騨高山の土地柄か、多くの信徒さんを集めていたそう。

本堂裏手には立派な池庭があり、きっと美しいのであろう景色が広がっていますが・・・その現状は・・・、もったいないと一言で表現するには惜しまれるほどの姿だった。

△素敵な池庭も剪定されないままとなり、荒れ放題。

庭以外にも立派なご本堂など、往時の面影が随所に感じられる。非常に立派なお寺だ。

どうしてこれほどまでに立派なお寺がこうも窮地に立たされ、お寺ステイと話をする機会がやってくるのだろうか。

甚だそんな疑問を持ちながら会話をしていた。

△立派な本堂ではあるが、温かみが薄く、人の気配を感じられない現状。

住職の決断。お寺ステイの挑戦。

話も進めていく中で、なぜ窮地に立たされているのかがようやく見えたきた。

聞けばこのお寺、善光寺大本願別院という由緒あるお寺ではあるが、檀家さんのいないお寺で、信徒さんらによって代々支えられたきたのだそう。

そして、時代の荒波に揉まれ、この一寺院だけでは運営が到底成り立たず、このお寺から人影が一切なくなった時期もあるのだとか。

住職が奔走するも、これだけの立派なお寺を維持・運営していくほどの体力を養うことはできず、今日という日を迎えていたのである。

このお寺は、そのような背景のもと、大きな岐路に立たされていたのである。

正直、この時点で住職は、お寺を閉じる想いでいた。

会話の中ですでに決断していたその想いが端々に出てきていた。

しかし、私たちとしてもこうしていただいた御縁。私たちにもできることがあるのではないか。

そんなことを思っていた。

▲お寺ステイが関わる前の高山善光寺の様子

▲浴室もこのような状態であった

お寺ステイにかける想い

私たちは2016年6月株式会社シェアウィングとして産声をあげた、まだまだ駆け出しの会社である。

女性社長2人によって立ち上げられ、お寺の空間が織りなす時間、さまざまな歴史・文化・伝統を背負い今に至るそのストーリーに魅了され、より多くの方々にこの空間をシェアしたいという想いから誕生している。

そして、数多くのお寺さんとお話をさせていただき、さまざまな企画を行わせていただいていた。

そうして、数多くのお寺さんとお話をさせていただくうちに、一参加者としてお寺に足を運ぶだけでは見えてこない実情なども見えてきた。

少しでも多くのお寺さんを後世に残していきたい。

そんな想いがより一層強く湧いているタイミングでの、このお寺との出会いだった。

 

そして、善光寺での住職との時間はあっという間に時間は過ぎていく。

私たちは意を決して、最後に一言告げた。

「私たちにこの善光寺を託してくれませんか。」

「(小声で)本当はお寺を後世につないでいきたいですよね・・・?」

▲お寺ステイが関わる前の高山善光寺の様子  このような形で部屋が準備されていた

創業して1年、私たちも大きな挑戦に出ようとしていた。

つづく

 

お寺ステイとは・・・

「お寺の原点を見つめる」という想いのもと、お寺の魅力をもっとたくさんの人に届けるため、女性起業家2人によって設立。

お寺でしか体験することのできないことの価値を最大化するため、宿坊(TEMPLE HOTEL)を受け皿とし、滞在時間を増やすことで、短い時間では気づくことのできない「きっかけ」を提供する。

そのための宿坊であり、お寺へ足を運んでくれた方が、お寺に泊まり、その先にどのよう経験をすることができるかが重要と考える。

NHK WORLDを始めとする数多くのメディアにも注目されている。