お寺豆知識 第21回 浄土真宗の一大行事「報恩講」(ほうおんこう)

お寺豆知識 第21回 浄土真宗の一大行事「報恩講」(ほうおんこう)

【浄土真宗って?】

「南無阿弥陀仏」「親鸞聖人」

日本史のテストで、この2つの言葉の漢字を覚えるのに苦労したという方、多いのではないでしょうか?

「親鸞聖人(しんらんしょうにん)」は浄土真宗の宗祖です。

(長野県の善光寺にある、親鸞聖人の石像。親鸞聖人が善光寺にお参りしたとき、松の枝をお供えしたという言い伝えから、この石像も松の枝をもっておられます。)

浄土真宗の教えをとても簡単にお伝えすると、

「阿弥陀仏(あみだぶつ)によって信心をいただき、南無阿弥陀仏、つまりお念仏とともに人生を歩ませていただく。」という宗派です。

浄土真宗のお寺の、本堂の内陣(ないじん:阿弥陀如来像や掛け軸があるスペース)は金の装飾が多く、

とても華やかなのも特徴です。

きょうはこの「浄土真宗」の一大行事「報恩講」をご紹介します。

【報恩講って?】

「報恩講」というのは、浄土真宗のお寺で行われる行事です。

宗祖・親鸞聖人を偲び、親鸞聖人が残してくださった南無阿弥陀仏の教えを改めて深く味わう法要です。

親鸞聖人のご命日が1月16日なので、

本願寺派の本山・西本願寺では毎年1月9日~16日まで法要が行われます。

全国のお寺でも、概ね秋~冬にかけて、この「報恩講」が行われます。

法要は、ご門徒さんがお寺に集い、「正信偈(しょうしんげ)」というお経を一緒にお勤めします。

この正信偈のお勤めは、一般的にイメージされるお経より音の高低があり、歌のようにも聞こえます。

ここだけの話…私もカラオケで歌う歌を覚えるように、車の中で…、掃除をしながら…、お経を口ずさんで練習しました。

お勤めの後は、法話、そしてお斎(おとき)をいただきます。

ご本山では、15日の夜から16日の朝まで一晩中法話を行う「通夜布教」が行われたり、コンサートをするお寺もあるようです。

お寺によって様々な報恩講のかたちがありますが、

親鸞聖人のみ教えをご縁に、普段ゆっくり言葉を交わすことが少ないご門徒さんたちが集まって、

一緒にお念仏させていただく時間は、とても温かい気持ちにさせていただけます。

【荘厳係(しょうごんがかり)の反省】

ここからは裏話なのですが…。

報恩講のような大きな法要になると、お坊さんたちがそれぞれ担当を決めて準備を進めます。

全体の進行や、お経を先導する「導師」は住職が、

私は内陣のお花をいけたり、お供えものやお焼香の準備を行う「荘厳係」を毎年担当しています。

写真は、今年の報恩講で私が担当内陣の荘厳(しょうごん:内陣の飾り)です。

お花…松がスカスカですよね。

自坊では、報恩講の荘厳には松を使うのですが、その隣にある和蝋燭の力強い炎が松に燃えうつってしまうのではないか…と恐れてしまい、枝を細かくきり、まとめまくってしまったのです。

その結果、少し淋しい雰囲気になってしまったので、急遽庭から黄色い「ポンポン菊」を摘んできて、ボリュームを出しました…。毎年報恩講の荘厳をするたびに「ちゃんと華道を習いたい…」と思います。

浄土真宗の本堂の内陣は「極楽浄土」を表しています。

とても華やかできらびやかな極楽浄土…お花が貧相になりすぎないように、しっかりいけなければ!と反省すると同時に、来年また荘厳を担当させていただけるのを楽しみにしております。

【さいごに…】

浄土真宗の一大行事「報恩講」、どんなものか少しでもイメージしていただけたでしょうか?

親鸞聖人は鎌倉時代に活躍された方ですが、

そのみ教えが今も残り、現代を生きている私たちが、その教えのご縁でつながることができる。

普段「当たり前」と感じてしまうことが、実はそうではない、とても貴重なことなのだ、と

気づかせていただく機会が、報恩講であり、葬儀や法事などの法要だと改めて感じています。