お寺豆知識第7回 吾唯足知(われ、ただ、たることを、しる)

お寺豆知識第7回 吾唯足知(われ、ただ、たることを、しる)

吾唯足知(われ、ただ、たることを、しる)

 

【世界遺産龍安寺】

坊主道メンバー、臨済宗妙心寺派、甲府市禅林院住職、山田哲岳と申します。
京都市右京区に世界遺産に登録されている「龍安寺(臨済宗妙心寺派)」というお寺をご存じでしょうか?
近くには、金閣寺、仁和寺、妙心寺、等持院、そして太秦の映画村があります。

なによりも龍安寺は、方丈(本堂)前の「枯山水の石庭」で有名なお寺です。


【龍安寺の蹲踞(つくばい)】

そして、方丈(本堂)の裏にも有名な「知足(ちそく)の蹲踞(つくばい)」が設置されています。
中央の水穴を「口」の字に見立て、周りの4文字と共有し「吾唯足知(われ、ただ、たることを、しる)」と読みます。

「吾唯足知(われ、ただ、たることを、しる)」とは

人は無いモノを欲しがり、手にしてもモットたくさん欲しいと欲があり、煩悩があり尽きることがありません。

さあここで想像してみましょう。

今、皆さんは水が半分入ったコップを手にしています。

そして、「まだ水が半分も残っている」と感じるか「もう水が半分しかない」と感じるか。
与えられた〝水(もの・ばしょ)〟を大切に最大限生かすことによって、物質的な満足ではなく精神的な満足が得られるのではないでしょうか?

 

【3.11の記憶から今の〝自分〟を考える】

3月11日、東日本大震災が発生してから今年で7年を迎えます。
大船渡市のご住職は所用で隣の陸前高田市へ、奥さんは子どもさんの小学校へ行ったところで震災、津波の被害に遭い、ご家族が別々の避難所で連絡手段もなく2週間を過ごされました。

避難所では、水をもらうにも長蛇の列に並ばなければなりません。
いよいよご住職の番になったとき、ボランティアの方にご自身の持ってきたペットボトルを5本渡されました。
「私は一人だから1本で結構です」と断られました。
「沢山ありますかどうぞ」と言われても「私は1本で大丈夫ですから、あとの方に渡して下さい」とおっしゃったそうです。
震災直後の混乱し、精神的に追い詰められているときに他の人を思いやる心と1本の水を大切にいただく気持ちだと思います。

【最後に】

東日本大震災だけではなく、日本中、世界の各地で震災被害があり、必ずしも復興しているとは言いがたい状況です。
金銭や物資の援助も必要でしょうが、先ずは震災に遭われた方に「祈り」を届けてみませんか?
被災された方が一番恐れていることは、「忘れ去られる」ことだと伺いました。
是非、今一度、失われた尊い命を、震災に遭われた場所を、被災された方を、いまだに避難所で不便な生活を強いられている方に想いを寄せて下さい。
ご自身が置かれている環境(場所)、状態に不平不満を言うのでは無く、命ある限り「今」を最大限大切にして楽しんでみてはいかがでしょうか?