宗教と信仰心~バリで感じたお話~
皆様こんにちは。
YOGA講師の竹田夕子です。
私は文化の違う世界の国々を旅することが大好きなのですが、
先日、大好きな場所のひとつ、インドネシアのバリ島に行ってきました。
【バリと宗教】
バリは、私がYOGA講師として大切なものを学んだ場所です。
長期で滞在していた時には、
現地の方々が朝から夜までいつでもお祈りとともに生きていることを肌で感じることができました。
日本や他の国に行った時にはなかなか感じられなかったもので、非常に心を動かされたことを覚えています。
仲良くなったバリのお友達がある時こんなことを言いました。
「君たちの生活は、仕事・家族・娯楽の3つがあるように見える。
僕たちの生活はね、仕事・家族・信仰の3つが大切で、それ以外はあまり存在しないんだよ。」
【ヒンズー教と仏教の関係】
ご存知の通り、バリはヒンズー教の国です。
ヒンズー教は仏教と同じく、インドが発祥の地になります。
ヒンズー教では、「輪廻転生」という考え方や、この輪から抜け出す「解脱」という考え方がありますが、
これは日本で親しみのある仏教でも同じですね。
でもお葬式が日本とは違うんです。土着している死生観が違うのでしょうか…
バリでは、人が今世の肉体を離れる(死ぬ)と、お祭りのような賑やかさでドンちゃん騒ぎをします。
生まれ変わりを信じていて、彼らにとって「死」とは取り返しのつかないような悲しい最後ではなく、繰り返される人生の節目のひとつでしかないのでしょう。
お友達がまたこんなことを話してくれました。
「僕の子どもは曾おじいさんの生まれ変わりだから、曾おじいさんに恩返しをしたいと思っているたくさんの人たちが、子どもの世話を嬉しそうにしてくれるんだ。僕も同じように周りの人にお世話になってるし、周りを助けたいんだ。」
仏教と共通している「輪廻転生」という物語を深い信仰心で受け入れることで、バリの人々は世代を超えた恩のやりとりをしているのかなーと感じ、今の日本に消えかけているものを見たような気がしました。
【ヒンズー教と仏教の違い】
私が皆さんにお伝えしているYOGAもインド発祥(仏教もヒンズー教もYOGAの発祥もインド。インドってすごい!!)で
インドの伝統的王道YOGAは、ヒンズー教の教えを守っています。
ではここで、ヒンズー教と仏教の違いについて簡単に書いてみますね。
ヒンズー教は基本的な考え方として、
宇宙を貫く絶対的な至高の存在「ブラフマン」と、
我々個人に純粋で普遍的な自我「アートマン」があるとし
これらが一致した時(梵我一如/ぼんがいちにょ)に至る、悟りの境地を目指します。
それに対して仏教の考え方では、
永遠に存在するものなど何もないに関わらず
何かが永遠に存在するかの様に錯覚して執着するから人間に苦しみが生まれるのだ、とし
永遠普遍な自我などは存在しないとする「諸行無常(しょぎょうむじょう)・諸法無我(しょほうむが)」に気づいていきます。
他にもいろいろな違いがありますが、私が興味のある分野が「心を整える」(←これもまた大雑把な表現ですが…良しとします)ことなので、その分野における簡単な違いはこんな感じです。
私はYOGAを伝える時
伝統的なヒンズー教の教えよりも、仏教の教えや智慧を採用しています。
私自身が日本で生まれ育ち、仏教の教えが生活や細胞に染み付いていて、無我や空・諸行無常の概念にしっくりきているからですね。
生徒さんたちも、YOGAの時間を共に過ごしながら、だんだんと仏教の教えが身体に染み付いていってるように感じます。