大寒に「煩悩」のはなし
【きょうは「大寒」】
2023年1月20日は二十四節気の「大寒」です。
二十四節気とは、中国で生まれた季節の指標です。
「大寒」の他にも「冬至」や「立冬」なども二十四節気のひとつです。
日本でも、旬の食材をいただいたり、その季節のお花を楽しんだりして、特別な一日として過ごすことが定着しているように思います。
さて、きょうの「大寒」は一年で最も寒い時季とされています。
ここで突然ですが、皆さんは寒さは好きですか?嫌いですか?
【寒さから「煩悩」をおもう】
「冬が寒くて本当に良かった」
これは大人気バンドBUMP OF CHICKEの「スノースマイル」という曲に登場する歌詞です。
この曲では、冬が寒いから「ポケットにどうぞ・・・」と声をかけて恋人と手をつなげる!幸せだ!と歌われています。
私自身、若い頃にこの曲を聞いてそれはそれはドキドキしたものです。曲の中の純朴な主人公は、冬が寒いということに後押しされて、恋人との仲を深めることができたのですね・・・。
ただ、こんな場面なら冬の寒さもハッピーかもしれませんが、日常はどうでしょうか?
寒くて布団から出られず朝はバタバタ。
暖房代がかさむ。
雪なんて降った日には、通勤・通学に時間がかかって、危険だし、本当に面倒!
寒さが苦手という方にとっては厳しい季節です。
一方で、寒いからこそ美味しくなる野菜もありますし、ウィンタースポーツも楽しめます。
雪ひとつとっても、日常では「面倒で嫌なもの」、週末にゲレンデに行く予定があれば「もっと降って欲しいもの」と気持ちは変化します。
山梨に住んでいると富士山は身近な存在ですが「やっぱり寒い時の富士山はきれいだね〜」という声がたくさん聞かれます。
美しい富士山を見たい人にとっては、寒いというのは嬉しいことです。
寒いのは嫌、でもスノボも行きたいし、綺麗な富士山も見たい。
寒くない冬が来ればいいのに。
そんな都合の良い理想を口走ってしまう私がいます。
【煩悩の根本は「私の都合」】
この「私の都合」こそ「煩悩の根本である」と仏教は教えてくれます。
「煩悩」とは「私の心を煩わせるはたらき」つまり、「マイナスの気持ちなる原因」です。
私が仏教と出会って衝撃的だったのは、この「煩悩」は外からやってきたり、人から与えられるものではなく「私のなかにあるもの」ということです。
私が悩んだり、イライラしたりする原因は外や他人にあるわけではなく、私自身にあるというのです。
「寒い」という状況も、私の見方次第で、好きなものにも、嫌いなものにもなるのです。
ハッとさせていただいた仏教のみ教えです。
【嫌な気持ちになったら・・・】
自分自身を考えてみると「煩悩」はとても断ち切れそうにありません。
自分で自覚できる部分はコントロールできるかもしれませんし、コントロールする努力はしたいと思うのですが、無意識の部分で煩悩を発揮している可能性もあります。
煩悩とは本当に手強いものです。
でも「煩悩の根本は私の都合にある」と気づかせていただくと、日々のイライラや悩みとの付き合い方が少し変わるのではないでしょうか。
自分の見方が変われば、見える世界も変わるのだと思います。
大寒の後は立春、春のはじまりです。
心穏やかに、前向きに、春を迎えたいものです。