50年に一度の法要
親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要
浄土真宗本願寺派僧侶の海野紀恵です。
先日、ご本山・西本願寺でおつとめされた「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」にお参りさせていただきました。
浄土真宗の宗祖「親鸞聖人」をご存知でしょうか?
日本史で習った!聞いたことがある!という方もいらっしゃると思います。
(私はテストで「鸞」の字に苦戦しました。)
親鸞聖人は、平安時代の後期1173年に京都にお生まれになりました。
ここから数えて2023年は親鸞聖人御誕生から850年。
「立教開宗」というのは「浄土真宗のはじまり」という意味です。
年数カウントのスタートは、親鸞聖人の著書『顕浄土真実教行証文類』が成立した年、1224年です。
そうすると、来年2024年でちょうど800年となりますが、
2023年に「親鸞聖人御誕生850年」「立教開宗800年」の節目の法要が執り行われました。
50年に1度の法要とは
このような大きな法要はなかなか行われません。
その頻度は50年に一度。
次の「親鸞聖人御誕生900年・立教開宗850年」の時には、私はもうお参りできないことでしょう・・・。
このたびの慶讃法要(「きょうさんほうよう」と読みます)では「新制御本典作法(しんせいごほんでんさほう)」が新たに制定され、おつとめされました。
浄土真宗本願寺派では、「声明(しょうみょう:文章に節をつけて読み上げるもの)」と「お経」を組み合わせて法要を行います。さらに「読み上げる系(声明・お経)」に加えて「動き系(花びらのような華葩(けは)をまく、など」もあり、「声明」「お経」「動き」をまとめて「作法」と呼んでいます。
「新制御本典作法」は、今回の法要で初めて用いられる新しい作法です。
浄土真宗ではお馴染みのお経も、御文(文章)は同じでも節(メロディー)が変わっています。
私も新しい節を練習しでお参りさせていただきました。
よく浄土真宗は「お坊さんがずっと歌っている」と言われますが、「新制御本典作法」はとても旋律が豊かで、西本願寺の御影堂は朗々とした声が溢れていました。
声で言葉をつなぎ、み教え、思いが伝わる
今回、慶讃法要にお参りさせていただき、浄土真宗の「宗教空間」に身を置いて感じたのは、「言葉と声の力」でした。
親鸞聖人が長い年月をかけて明らかにされたみ教えは、言葉というかたちで残り続け、800年後の私たちに届いています。親鸞聖人が言葉にしてくださったから、2023年を生きる私たちもみ教えを受け取ることができるのだなぁ・・・と、とてもありがたく感じました。
また「声にすることで伝わることがある」と実感しました。
正直、声明やお経は、耳で聞いただけでは言葉の意味はすぐに浮かびません。
でも、声に乗った言葉に包まれると、胸にぐっと込み上げるものがありました。声には、人の頭ではなく、心に直接何かを届ける力があるのだと思います。
今回の慶讃法要にお参りさせていただき、私は、言葉と声を大切にする僧侶でありたいと改めて強く感じました。