あなたは、あなたのままで尊い

あなたは、あなたのままで尊い

4月8日はお釈迦さまの誕生日

まもなく新年度を迎えようとしていますが、山々には雪が残り、まだまだ暖房器具フル稼働の信州です。

今年はなんだか冬がとても長い気がして、本当に春は来るのだろうか・・・と気が遠くなります。

それでも、梅の花が咲きはじめ(長野県は去年より開花が1週間ほど遅いそう!)、杏の蕾もほころびはじめました。

これから花ざかりの季節。

そんな時期に行われるのが「灌仏会(かんぶつえ)」=「花まつり」です。

花まつりについては、この「お寺のじかん」で以前ご紹介しています。

仏教をひらかれたお釈迦さまは、今から約2500年前の4月8日にお生まれになりました。

「灌仏会」(花まつり)はお釈迦さまのご誕生をお祝いする行事です。

なぜ「灌仏会」?甘茶と長野県

先ほどから、親しみのある「花まつり」という呼び方だけでなく「灌仏会」とあえて書いていますが、実はつい最近ある事実を知りました。

そもそもなぜお釈迦さまの誕生を祝う行事を「灌仏会」というのか。

(「灌仏会」の他にも、「降誕会(ごうたんえ)」「仏生会(ぶっしょうえ)」など様々な呼び方もあります。)

「灌」は「そそぐ」という読み・意味を持つ漢字です。

お釈迦さまがお生まれになったとき、花は咲き乱れ、天からは産湯がわりの甘露の雨が降ったと伝えられています。この「甘露の雨が灌(そそ)がれた」というところから「灌仏会」という名前がついたと言われています。

現代の日本の灌仏会では、小さなお釈迦さまの像に甘茶をかけて誕生をお祝いします。

甘茶は「甘露の雨」を表現しているのですが、皆さんは甘茶を飲んだことがありますか?

私は幼い頃に灌仏会に参加した時にいただいたのですが、味はすっかり忘れていて、大人になって改めて飲んで衝撃を受けました。

とっても甘くて美味しいんです。

思わず「本当にお砂糖入っていないんですか?」と確認してしまったほどです。

つい最近、灌仏会に備えて甘茶を買おうと調べていたら、とても高価で、スーパーで常に売っているものではないことがわかりました。

しかも、その貴重な甘茶、生産量は長野県が全国トップクラスとのこと!

普段は飲むことがないお茶なので、どこか遠い国のものだろうと思っていましたが、意外と身近なところで生産されていました。

今では長野県の生産量もかなり少なくなってしまっているそうですが「甘茶」で灌仏会と長野県がつながって、嬉しい気持ちになりました。

あなたは、あなたのままで尊い

さて、約2500年前の4月8日にお生まれになったお釈迦さま。

ご誕生の直後に、7歩歩かれ「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」とおっしゃったと伝えられています。

「天上天下唯我独尊」とは「生きとし生けるものは、すべて平等に尊い存在なのだ」というお示しです。

私は、春に灌仏会を通してこの言葉に触れらることは、とても意味のあることで、ありがたいなぁと感じています。

春は進学や就職、進級、昇進などなど多くのことが変化する時期です。

心踊る季節である一方、「同期は昇進したのに」とか、「友達は志望校に合格したのに私は浪人生活か」などと人と自分を比べて、悲しくなったり、悔しい思いをすることも多い時期だと思います。

そんな時「あなたは、あなたのまま、そのままで尊いんだよ」というお釈迦さまの言葉を思い出してみてください。

悲しさ、悔しさの渦中にいると、「そうは言っても」と簡単には受け入れられないかもしれません。

でもそれは今、この瞬間だけのこと。

自分のペースで一瞬一瞬と向き合っていけば、きっと明るい気持ちになることとも出会えます。

人と比べるより、自分自身を見つめて、自分と会話をしてみる。

そうすることで、次の一瞬、次の一歩を踏み出すことができると思います。

チャンスがあれば、近くのお寺の灌仏会にお出かけしてみてください!

もしかすると長野県産の甘茶にも出会えるかも・・・。

 

 

 

※編集部注※

「天上天下唯我独尊」の解釈については諸説あります。