お寺さんの音景色 Vol.0|自己紹介・はじめに
はじめまして。遠藤卓也と申します。
1980年生まれ。東京の核家族に育ちお寺とは縁もゆかりもない人生を過ごしていましたが、20代に出会った友人が大学卒業後に僧侶となり、その友人が所属するお寺でライブイベントを主催することに。元々音楽が好きなこともあり、水を得た魚のように回を重ねていきます。その過程で徐々に仏教への親しみが深まり、お寺という場のもつ可能性に気づき始めました。
そして、30代に「未来の住職塾」というお寺さんが寺院運営について学びあう塾を、仲間たちと共に始めました。現在では全国700か寺を超える卒業生たちのお寺ネットワークと繋がり、各地の寺院を様々な形で支援するお仕事を担っています。
「お寺のじかん」を運営する、SOCIAL TEMPLEメンバーにも「未来の住職塾」卒業生が多く、そのご縁から連載をもたせてもらうことになりました。どうぞ宜しくお願いいたします。
”お寺文化” と “音” をかけあわせる試み
さて、何を書こう?と迷う中で、「お寺のじかん」のメディア・コンセプトをじっくり眺めてみました。
お寺のじかんとは
仏教やお寺を様々な観点から見つめ
体験したこと、気づいたこと、お寺イベント情報などを配信していきます。
この「お寺のじかん」をきっかけに仏教やお寺をもっと身近に感じてもらい、
ご自身の人生のヒントとなれば幸いです。
このコンセプトを実現するために自分が貢献できそうなことと言えば、なんといっても全国のお寺さんとのネットワーク。仕事柄、全国各地の寺院を訪ねて取材や講演を行なう機会が多く、その出張の旅ではお坊さんたちに特別な場所へご案内いただいたり、地元の人しか知らないような美味しいものを教えていただいたり「役得」とも言えそうな得難い体験をさせてもらっています。
そんな旅のこぼれ話を記事にできたら、きっと「仏教やお寺をもっと身近に感じてもらう」きっかけづくりになるかもしれないと考えました。
そこで「お寺のじかん」では、自分の好きな ”お寺文化” と “音” をかけあわせた、『お寺さんの音景色』というタイトルで書いてみたいと思います。
お坊さんたちのフィールドレコーディング
その背景としてコロナ以降に始めたポッドキャスト「Temple Morning Radio」があります。「未来の住職塾」を一緒にやっている僧侶の松本紹圭さんが、週替りでお坊さんをゲストに迎えてトークをする番組。2020年4月にはじめて以来、今のところ平日毎朝新エピソードを更新し続け、多くのリスナーの皆さんに聴いていただいています。
私は音声の編集・配信をやっていますが、番組後半「音の巡礼」というコーナーも担当。全国のお坊さんから送ってもらった「お経音源」を少し整えて配信しています。機材の揃ったスタジオでビシッと録った音ではなく、お寺の本堂にてスマホやICレコーダーのマイク一つで録られた味のある音。時には、鳥や虫の声、雨や風の音も含まれています。そこには読経の声とともに、お寺の日常の音風景が収められていたのです。
近年、自然の環境音などを録音するフィールドレコーディングが注目を集めていますが、これは「お坊さんたちのフィールドレコーディングなのだ!」と気づき、自分でも機材を持ち歩き「お寺のフィールドレコーディング」をするようになりました。
そういった活動を通じて、自分自身が探求を深めている「お寺さんの音景色」について、その魅力の一端を文字と写真でお伝えしていきます。
第1回目は6月に訪ねた富山県・高岡での、とあるお坊さんたちの集いの記憶から、お寺の本堂で鳴らされる仏具「おりん」の音景色に迫ります。
▼ Vol.1 富山県 高岡市 シマタニ昇龍工房で「おりん」の深き音景色に沈む
https://www.otera-no-jikan.com/article/8746